感想なのかレビューなのか

『ダンジョンエンカウンターズ』は人を選びまくる怪作

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DUNGEON ENCOUNTERS

「ダンジョンエンカウンターズ」は、シンプルなゲームデザインを突き詰めたダンジョン探索RPGです。プリミティブな設計思想に基づいて、ビジュアル表現や演出は抑えられており、ゲームシステムそのものの面白さを体験いただけます。 DUNGEON ENCOUNTERS | SQUARE ENIX

FFのATBやジャンクションシステムを発明したゲームデザイナー伊藤裕之が手掛けた『DUNGEON ENCOUNTERS』はまったくもって万人受けのゲームではない。

だが、ハマる人はハマる。私はハマりました。

一応のラスボス撃破までのプレイ時間は25時間くらい。最強の敵を倒してマップ全踏破するまで35時間くらい。

『DUNGEON ENCOUNTERS』とはなにか

『DUNGEON ENCOUNTERS』とはなにか。なんなのか。

公式では「シンプルなゲームデザインを突き詰めたダンジョン探索RPG」と説明されている。より突き詰めた表現をするならば、『DUNGEON ENCOUNTERS』とは数字のやり取りを楽しむゲームだ。

敵と数字のやり取りをして勝利し、より数字の大きい武器や防具を手に入れることを楽しむ。

いろんなレビューを読む限り賛否両論のようだが(どちらかというと否の方が多い模様)、このゲームには間違いなくRPGの本質的な魅力が詰まっていると感じている。

仮想エレベーターは船。そこが良い

中盤で習得できるアビリティ「仮想エレベーター」を楽しめたかどうかがこのゲームの評価を分けていると思う。

「仮想エレベーター」は同じ座標の床がある階まで一気に移動できるというアビリティ。それまでコツコツ一階ずつ下ってきた冒険者は、このアビリティによって一気に縦横無尽(というより上下無尽?)にダンジョンを飛び回れるようになる。

こんなアビリティがあったらバランス調整もクソもないじゃないか、という意見があるのは理解できる。…が、このチートのようなアビリティこそが『DUNGEON ENCOUNTERS』の魅力を体現していると考える。

このゲームは古き良きプリミティブなRPGに例えられることが多いが、「仮想エレベーター」は古のRPGにおける船である。

かつてのドラクエやFFでは、船や飛空艇などの新たな乗り物を手に入れると、本来の適正レベルではないエリアにいきなり行けたりできた。よくわからない島に上陸して「こんなところまで来ちゃって大丈夫なんだろうか」とドキドキしながら歩いていると、案の定メチャクチャ強い敵にワンパンでやられたりする。

「仮想エレベーター」はまさしくそんな体験をさせてくれる。調子に乗ってどんどん降りていったら地獄のようなエリアに来ちゃったよ、という感覚。好きな人にはたまらない瞬間である。

イマイチな点

数値問題

ゲームの評判を下げている要因の一つが数値問題。確かにこれについては同意せざるを得ない。特に後半は「そんなもん分かるか!」という問題も多く、ゲーム世界と無関係なのも気になる。

とはいえ、数値問題の報酬は必須というわけでもないのでオマケみたいなものだと割り切るのはどうだろうか。

キャラクターがたくさんいるけどほとんど意味ない

ロボやドラゴン、侍のように特殊なキャラもいるが、特殊武器が2,3個あるだけでいまいち使いにくい。ストーリーを掘り下げないのは割り切りとしていいとしても、キャラクター間の性能差はもう少し大きくしてほしかった。

クリア後のやりこみ要素が少ないのが残念

ラスボス(パンプティコア)よりも強力な敵、例えば無限(FF)やモルモット教授が登場するが、絶望感を覚えるほどの強さではない。マップ全踏破も時間をかけさえすれば達成できるため、クリア後にやることは結構すぐに無くなってしまう。

低レベルクリアを目指すとかを楽しむべきなんだろうが、もっとクリア後の要素もあってほしかった。

勧めにくいけど勧めたいゲーム

『DUNGEON ENCOUNTERS』はまったくもって万人受けのゲームではない。体験版もないので「ちょっとやってみてよ」とも言いにくい。

が、何か少しでも引っかかるものがあったら、騙されたと思ってプレイしてみてほしい。本当に騙されたと思っても何も出来ませんが…。

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