『Return of the Obra Dinn』は探偵気分を味わえる傑作

「Return of the Obra Dinn」は、探索と論理的推理で展開する、一人称視点の謎解きミステリーアドベンチャーゲームである。 Steam:Return of the Obra Dinn
これは傑作。
まるで名探偵になったかのように謎を解き明かす感覚に浸れる。「名探偵になってみたい!」と夢見たことがある人はこの壮大な航海に乗り出すことを強くおすすめする(実際は探偵じゃなくて保険調査員だけど)。
クリアまでのプレイ時間は10時間くらい。
良かった点
探偵魂に火がつく
探偵っぽいことをさせてくれるゲームはたくさんあるが、『Return of the Obra Dinn』ほど自分の力(推理力や観察力)が試されていると感じられるゲームは他にない。
ヒントはあくまでもさらっと提示され、ゲームらしい「ここを見ろ!」という強引な誘導は一切なし。真実への扉は、自らの目と頭で見つけ出し、考え抜くことで開かれるのだ。「オレでなきゃ見逃しちゃうね」とつぶやきたいアナタにおすすめ。
絶妙な難易度
3人分の身元と死因が合っていると正解として確定される。とりあえず名前を適当に入れると正しかったりすることもあって、ふわっとした推理でも先に進める。
完全に自分の力で推理したいという人は、確信を持ってから入力するようにすればラッキーパンチはない。
独特の雰囲気に魅せられるグラフィックとサウンド
白黒の点描画のようなグラフィックが、謎めいた物語のムードを高めてくれる。
基本的に静止した世界を動くので派手なアクションはない。だが、その分、シーン冒頭のセリフや効果音が強烈な印象を残す。音から何が起こったかを想像するのも楽しい。
高クオリティな翻訳・ローカライズ
翻訳を担当されたのは『UNDERTALE』などでも知られる福市恵子さん。
セリフがちゃんとキャラクターにマッチした口調になっている。また、航海日誌などの日本語フォントも作品の世界観に馴染んだものでまったく違和感がなかった。1800年代の航海にまつわる専門用語がふんだんに登場する作品でありながら、これでけスムーズにローカライズされているのはすごい。驚異的。
イマイチだった点
結局最後までスッキリしない
全員の死因を特定できても、結局何が起こったのか、ストーリーの核心はよくわからなかった…。断片的なイベントから誰がどうなったのかは理解できるものの、物語の真相については明確には語られない。
身元と死因を特定していくだけで十分おもしろいので問題ないといえば問題ないけど、最後にすべて分かってスッキリ!という感じではない。
良い風にいえば考察の余地がある作品ともいえる。
一人称視点が苦手な人は酔うかも
船の揺れもあって、一人称視点が苦手な人は酔うかもしれない。
どうしても解けないときのために
どうしても解けない人はまずヒントを見てみてほしい。
以下のwikiはすべての解答。最終手段として。
唯一無二のゲーム
『Return of the Obra Dinn』は他のゲームでは味わえない唯一無二の体験をさせてくれる。気になったらぜひプレイしてみてほしい。